ノーコードハッカソン結果発表!

ノーコード時代に活躍するT型人材とは

T型人材

昨今の技術革新のペースは加速度的に上昇しています。現在の「当たり前」が数か月後には時代遅れになっている、そんなことも珍しくはない時代です。

続々現れる新たな技術を理解し、使いこなせなければ取り残されてしまう令和の時代、これまで以上に社会に必要とされるようになったのが「T型人材」と言われる人材です。

T型人材とは何か、どうして求められているのか、T型人材になるにはどうしたらいいのか。本記事ではこのT型人材について解説します。

T型人材とは

 

T型人材とは、特定の専門分野を持ちながら、それを軸にその他の幅広い分野に対しても知見を持っている人材のことです。

T型の「T」とは何かの頭文字ではなく、縦軸を「専門性」、横軸を「視野の広さ」に見立てた記号を表しています。

従来、日本では「T型」ではなく「I型」と呼ばれる人材が好まれていました。I型人材とは、縦軸の「専門性」のみを追求している人材で、いわゆる「スペシャリスト」のことです。

他の分野に対する知見はあまり持ち合わせていないものの、専門分野に関しては知識・スキル共に豊富で、この分野に関しては右に出る者はいないというタイプのことを指します。

また、「T型」「I型」以外にも「H型」と呼ばれる人材も存在します。H型人材とは、専門分野を持ち合わせながら、別の専門分野を持った他人との架け橋になれる人材の事です。「H」の縦軸のうち、1本が自分でもう1本が他人の専門分野、横軸がそれら2つを繋いでいる事を示しています。

I型人材は従来の日本で非常に重宝されてきた存在ですが、これからの時代は専門分野を極めるだけでは大きな強みとは言えず、幅広い知見も同時に持ち合わせたT型を目指す必要が出てきました。

以下でその理由と背景について詳しく解説します。

T型人材が求められるようになった背景

I型人材が日本を成長させた時代

終戦直後の焼け野原の状態から経済復興を遂げるまでの、いわゆる「高度経済成長期」では職人気質のI型人材が重宝されました。

高度経済成長期では、アメリカという理想のモデルを目標として設定し、その目標に向けて愚直に工場を稼働させ続けることで、産業を発展させました。

日本人は職人気質の人間が多い民族と言われることが多いですが、この時期には、製造業の効率化と生産性を追求したことが経済成長へと繋がりました。多くの業界は縦割りであり、自分の専門性を磨いて与えられた仕事に責任を持つI型人材が経済成長の立役者であったのです。

こうした高度経済成長の立役者であるI型人材が重宝される流れは、実際に高度成長が終わった後も続いていきました。

しかし、より低賃金で労働力を確保できる東アジア諸国の経済成長に伴い、従来のやり方に固執する日本の製造業のやり方は、グローバル市場での存在感を失っていきます。

さらに、インターネットが普及し、ITを通じて様々な業界・業種が繋がり新たな産業が生まれてきたことで、ひとつの専門分野で自分の市場価値を保つことはより難しくなってきました。

日本は今まで、I型人材の存在によって発展を遂げていきましたが、専門知識を持っている「だけでは」通用しない時代になりつつあるのです。

1本の軸だけでは通用しない時代

インターネットがあらゆる産業の基盤となったことで「フィンテック」「アグリテック」のように、新しい産業が生まれることとなります。

フィンテックの領域では金融サービスと情報技術を結び付き、スマートフォンによる小口決済サービスや仮想通貨が生まれ、アグリテックの領域では、AIやドローンなどを用いて効率化を図ったり、熟練農家の知識やノウハウをデータ化・一般化して後世に伝えたりといったサービスが生まれました。

このような市場が台頭することで、複数の分野同士を繋げる専門知識を持ちながら他の分野にも幅広い知見を持つ人材であるT型人材への需要が高まりました。

テクノロジーによる参入障壁の低下

インターネットの発達に端を発する技術革新は、従来の産業と掛け合わせることで、全く新しいモデルを生み出しましたが、それだけではありません。従来の様々な業務の「参入障壁」を下げる事にも繋がったのです。

例えば、まだパソコンが存在しない頃、企業に勤める経理職の人々は、電卓や算盤だけで帳簿をつけていましたが、現在では弥生会計などの様々な会計ソフトが登場したおかげで、効率が劇的に改善され、計算がそれほど早くない人でも職務を全うできるようになりました。

パソコンが普及して間もない頃、動画編集ができる人材は、映像業界に勤めている人などごく僅かでした。しかし現在では、簡単なプレゼンであればPowerPointを使えば済みますし、広告や宣伝のための動画であっても、aviutlなどの直感的に使えるフリーソフトを用いることで、誰でも簡単に製作する事ができるようになりました。

様々な分野において、これまで限られた専門家でした出来なかった仕事がより多くの人に門戸が開かれるようになったことで、複数の業務で活躍するT型人材が現れるようになりました。

例えば、「システムエンジニアでありながら、デザインや広告運用について最低限の理解がある」「本業はデザイナーだが、UI/UXやITについて最低限の理解がある」といった人材はT型人材に当てはまります。

T型人材は以下のような強みがあります。

・下請けに発注する際に、ディレクションが出来る
・異なる業種のチーム内でコミュニケーションロスがなくせる。
・専門家に依頼する程ではないが、最低限の知識が必要な業務を巻き取れる。

T型人材になって市場価値を上げよう

 

それでは、実際にT型の人材になるためにはどうしたらいいでしょう。

まずは、自分の身の周りで働いている人の業務の中で、巻き取れそうなものを勉強してみるのが良いでしょう。

例えばマーケティングを専門分野に持っている人の場合、販促物や宣伝媒体の製作する際にデザイナーや動画クリエイターなどと働くことが多いので、デザインや動画編集について少し勉強してみると良いでしょう。

他にも、例えばライティングを専門分野に持っている人の場合であれば、SEOやWordPressについて知見を深めることで自身の市場価値を高めることが出来ます。また、ライターは、様々な分野の記事を執筆する事がある筈です。興味がある分野の記事の執筆の際には、少し深掘りして自分の中で咀嚼しておくと、自然と知見を広がることになります。

「文章が書ける人」から、「文章とデザインができる人」「ゼロからニュースサイトを構築できる人」にレベルアップすることができれば、活躍の幅は大いに広がっていくことでしょう。

当然、ノーコード開発もT型人材には非常に有用な分野です。「デザインを専門としながらもノーコードツールを駆使してMVPでモックを作れる人材」「本業はマーケティングでありながら複数のノーコードツールを扱うことが出来る人材」といったようにノーコード×●●で自身を差別化していく人は今後も増えていくでしょう。逆に言えば、ノーコードがどんなに普及しようとも、ノーコード開発が出来るだけでは市場価値は生まれないとも言えます。

いずれにせよ、専門分野を軸として、周辺の領域を無理のないペースで勉強していく事が大切です。動画編集者と働くことが多く、自分も動画編集に興味があるのであれば、普段から動画編集の知見がある人と付き合うようにすると、何気ない会話の中で、自然と知識が身についていくかもしれません。

まとめ

 

今回はT型人材について紹介しました。キャリアにひとつの正解はなくひとの数だけあるものですが、自身の専門分野を持ちつつも、先行きの不透明なこの時代にキャリア形成について悩んでいる方に参考として頂けますと幸いです。

 

(文・寺澤一樹)