Makerpadは、如何にしてスタートアップのエコシステムを再構築したのか

  • 2020年12月4日
  • 2020年12月29日
  • コラム

皆さんこんにちは。今回はノーコード開発者なら一度は聞いたことがあると思われるノーコード開発者向けコンテンツを配信するオンラインプラットフォームのMakerpadについて紹介したいと思います。

2018年にBen tossellによって設立されたMakerpadは、現在、250以上のチュートリアル、ワークショップが用意されており、メルマガ会員は6000人以上、年間249ドルのプロ会員の数は2500を超えるまでに成長しており、2019 年にはProductHunt のノーコード開発プラットフォーム部門において投票数1位を獲得しています。

Ben Tossellは、「ノーコード開発によるソフトウェアの民主化」というフレーズを普及させたキーパーソンとしても知られており、数年で急成長を遂げたMakerpadは学習サイトの域を超え、数々のプレイヤーが集まるエコシステムを構築しています。

ノーコードアプリ開発後も包括的にサポート

Makerpadのコンテンツはアプリ開発に関するチュートリアルだけに留まらず、業務効率化・自動化の方法や顧客管理システムの構築、集客の方法に関する動画も用意されており、初心者が少ない資本で事業を成長させるために必要なコンテンツが網羅されていることが特徴です。

言うまでもなくノーコード開発は手段であって目的ではありません。アプリケーションが出来たとしても誰にも知られていなかったら意味はありませんし、集客、マーケティング、顧客管理をゼロから一人でこなそうとするとそれなりの労力とコストがかかるものです。

Makerpadでは、後述するMakerpad Communityと合わせて、アプリケーション開発後の工程も包括的にサポートするようなサービスが整備されています。

Makerpadには、レベル別チュートリアルやノーコードツール別のチュートリアルに加えて、目的別のチュートリアル(採用、マーケットプレイス構築、メンバーシップ、オンライン販売など)や業種別のチュートリアル(オペレーション、データベース、マーケティング、顧客管理)も用意されており、「Parabolaを使ったInstagram の感情分析の手法」、「Webflowを使った求人票の作り方」といったピンポイントのチュートリアルが用意されているため、事業の課題に合わせて最適なチュートリアルを選べるようになっています。

まずは、MVP(必要最低限の製品)を作り、必要に応じて機能を充実させ広告費を投入していくという成長モデルは日本でも注目を集めるようになりましたが、実際のところ限られた予算内でWEBマーケティングやアド運用を効果的に行うのにはかなりの技能を有するものです。

「限られた予算でユーザーを0から1000人まで伸ばしたい!」、「バックオフィスの人員を雇う余裕はないので業務自動化ツールで効率化したい!」、「まずは月売上30万円を目指したい!」という方も、きっと最適なチュートリアルが見つかるはずです。

ノーコード開発者マーケットプレイス

Makerpadは、Webflow,Bubble,Airtable,Zapierといったノーコード開発プラットフォームとも提携しており、Makerpadのマーケットプレイスには、独自の業務改善ツールの他、Makerpadのパートナー企業のサービスを特別価格で利用できるプランも用意されています。

その他、パートナーになればチュートリアル動画やツールキットなどの出展も可能です。資本力のある企業ばかりではなく個人でも出展している事業者はいるので、販路拡大を考えている方は一度検討してみると良いでしょう(被リンク効果は絶大です)。

 

 

 

 

ノーコード業界特化型ファンド始動

そんなMakerpadは、今年、ノーコード業界に特化したファンドMakerPad Fundを始動させました。Ben Tossellは同社のブログにて、今度1件につき250万ドルから5万ドル、年間100万ドルを目安にアーリーステージのノーコード関連スタートアップに投資していくといくと綴っています。MakerPadがこれまでに出資した企業はCausal, Stacker, Supabase, Circle and Stagger.の5社です。

https://twitter.com/bentossell/status/1300896985327771656

Ben Tossellは、2022年までに「ノーコードを含むローコード開発の市場は2兆円を超える」というForrester Researchによる予測を紹介すると共に、ノーコード業界において、時価総額1000億円をこえる企業が7-10個は生まれるであろうと予測しています。

(画像出展:makerpad.fund)

 

Makerpad Community

Makerpad Communityでは、一種の仲間意識やボランティア精神のようなものが存在しており、アーリーアダプター達による相互扶助が活発に行われています。運営側もコミュニティの活性化を狙った各イベントを頻繁に開催しており、ノーコード開発者たちが有機的に繋がれるような配慮がなされているのが特徴です。

ティム・ウーが自身の著書マスタースイッチで指摘しているように、新しい技術が生まれ広く世間に普及するようになるまでの過程で最も重要なのは、アーリーアダプター達による熱狂と献身的なコミュニティ意識だと言われています。実際にMakerpad Communityでは、Ben Tossellの他、CircleのAndrew GuttormsenやSuper.soのJames Trafといった第一線で活躍する大物も普通にレビューをくれたりするので、多くのインサイトを得られることでしょう。サトシ・ナカモトやハル・フィリーが気さくに質問に答えていたようなビットコインの黎明期との類似を語ったとしたら大袈裟かもしれませんが、少なくともアプリ開発初心者が業界のエキスパートたちと気さくに交流できる貴重な場であることは間違いありません。

Makerpad Community のメンバーでプログラミング経験者は25%に満たないと言われており、その他大多数はプログラミング経験のないノーコード開発者だと言われています。気になった方は型の力を抜いて一度、覗いてみると良いかも知れません。

事業進捗状況を公開するインセンティブとは?

Makerpadの有料プランでは、エキスパートによる1on1のコンサルティングやディスカウントプランの他に、事業プロフィールのページを作成し売上や事業の進捗状況を公開できる機能があります。

普通は誰しも、個人で始めたばかりの事業の売上などは公開したくないものですし、それに対してお金を払うインセンティブなどないはずです。しかし、Makerpadでは、認知拡大の他、他のユーザーからより具体的なフィードバックを得たり、パートナー企業(あるいは人材)を探すのに役立つため事業の進捗状況や売上を公開することがインセンティブとなっているのです(考えてみれば、誰しも自分の事業について具体的なアドバイスを貰う時は、売上や財務状況くらい話すものです)。

実際に、Makerpadのコミュニティでは、「その事業規模なら無料のCMSで十分では?」「UI/UXはこうしたら最適化できるよ」といった具体的なアドバイスが得られる他、「MVPで個人でここまで頑張ってきたけど、人材紹介会社を利用するほど余裕がない」といったニーズに訴求したと言われています。

これは個人開発者のためのSNS・Indie Haclersでも同様の現象がみられており、集客、採用、PMF(プロダクトマーケットフィット)を一括でサポートする新しい形のインキュベーションの形として注目を集めています。

個人をエンパワーメントする新しいインキュベーションの形

Makerpadは、単なるノーコード開発者のコミュニティの枠を超えて、いかにして個人が低予算でMVP(実用最小限の製品)を手堅くスケールされるかといった点でブレイクスルーを起こしたと言われており、実際にMakerpadのコミュニティでは、自己資金で事業を始めた個人の活躍が目立ちます。

 

これまでのスタートアップ業界と言えば、著名なVCから資金調達をして、いかに短期間でExitするかといったモデルばかりに注目が集まっていましたが、誰しもに門戸が開かれているわけではありませんし、誰しもが目指すべきモデルであるとも言えません。

冒頭で紹介したようにノーコード開発のコンセプトのひとつに「ソフトウェアの民主化」があります。今まで一握りの人にしか携わっていなかったソフトウェア開発のシーンは、ノーコード開発ツールの普及によって、より多くの人が参画できるようになりました。

しかし、簡単にアプリケーションを開発できるようになったとしても、集客も出来ず、売上も立たないのであれば意味がありません。その意味では、生存確率が数パーセントと言われるスタートアップ業界において、ささやかな額の自己資金で事業を始めた個人の事業を再現性のある形で成長させるための包括的なプラットフォームとなったMakerpadは、ある種のゲームチェンジャーであると言えるかも知れません。

誰しもが一度は夢見る”強い独立個人”を考える時、ノーコード業界にはそのキッカケで溢れているのです。

 

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